□TRIFLE□編集者は恋をする□
 

チャペルに入ると、カメラマンの岩本さんがドレスを着た美咲さんを撮影していた。
肌の白い彼女に、シンプルなワンショルダーのドレスはとても似合っていて、文句なく美しい。

「美咲ちゃん、すげー綺麗。自然に瞬きして。そうゆっくり」

カメラマンの岩本さんはアイドルのグラビアを撮る事もあるから、女の子の撮影には慣れてる。
明るい茶色の短髪で深い緑色の縁の太い眼鏡をかけた岩本さんは、一見すごく軽そうにだけど実は色々な雑誌で仕事をしているベテランのカメラマンだ。
緊張で表情の硬い美咲さんにをリードするように話しかけるテクニックはさすがだなぁと感心する。

「ちょっと、平井さん!本当にどこに行ってたんですか!」

チャペルに入って来た私をみつけて、三浦くんが小声で怒った。

「ごめん」

三浦くんに手を合わせて謝りながら、ライトのセッティングを変えるタイミングを狙って声をかける。

「すいません。撮影一区切りしたら、一度照明を全部落としてもらっていいですか?」

私の言葉に、岩本さんも新田さんも不思議そうに首を傾げた。

「キャンドルの明りだけで撮るの?もう日没とっくに過ぎてるしさすがにムリだよ」

「大丈夫だと思います」

そう言って、ホテルの係りの人にお願いしますと頭を下げる。
パチッと小さな音がして、チャペルの照明が落ちると、暗くなるはずの室内がぼんやりと明るくなった。

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