□TRIFLE□編集者は恋をする□
首を横に振る私を見て、美咲さんは真顔でぽつりと言った。
「でも、仕事のためになんでそんなに必死になれるんですか?」
「え?」
「こんなに寒い中一人で雪かきして、撮影のために走り回って。平井さんがそんなに頑張らなくても、そんなのテキトーに他の人に頼めばいいじゃないですか」
「あ、いえ、本当はそうやってスタッフの皆さんに協力してもらうのが一番なんでしょうけど、私仕事に夢中になるとつい突っ走っちゃうんで……」
「そんな風に突っ走っちゃうほど、仕事が好きなんですね」
静かに言った美咲さんの口調には少し棘があった。
「平井さんって、私とは正反対のタイプですよね」
「え?」
「……いかにも仕事バカの不器用な女って感じ」
「な……っ!」
突然投げかけられた容赦のない言葉に驚いて目を丸くする。
その時ロビーの方から、美咲さんを呼ぶ声が聞こえてきた。