□TRIFLE□編集者は恋をする□
 

そういえば三浦くんはどこに行ったんだろう。

入口を振り返ると、丁度三浦くんが花を持って病室に入ってくるところだった。

「あ、三浦くんどこに行ってたの?」

「ナースステーションで花瓶を借りてきました。はい、どうぞ」

三浦くんは花瓶に活けられた綺麗な花をベッドの横のテーブルに優しく置いた。

「あら綺麗な花、ありがとうね」

「三浦くん、いつの間に花なんて用意してたの?」

「さっきからずっと紙袋に入れて持ってましたよ。だってお見舞いといえば花でしょ」

大きめの紙袋を持ってるなと思っていたら、花束が入っていたんだ。
さすが三浦くん。なんというか抜け目がない。

「あ、私もお見舞い持ってきたよ。入院中ヒマだろうと思ったから、クロスワードパズルと週刊誌と……」

バッグの中から本屋さんで買ってきた本を取り出す。

「うわ、平井さんなんて色気の無いお見舞い」

私が選んできた本を手に取った三浦くんが呆れた顔をした。


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