□TRIFLE□編集者は恋をする□


「似合ってるよ。さっき個室に入って来た時一瞬誰かわかんなくてドキッとしたもん。いつもそういう恰好してればいいのに」

明るい色の短髪のせいか、派手な縁の眼鏡のせいか、岩本さんはすごく軽く見える。
そうやって女の子を褒めるのに慣れてるんだろう。

「気を使わせてすいません。自分でもキャラじゃないって分かっているので褒めなくてもいいですよ。それより岩本さん、今日はお仕事で札幌に来たんですか?」

「いや、今回は仕事じゃなくてプライベート」

「え、まさか美咲さんを口説くためにわざわざ札幌まで来たんじゃないですよね?」

私がびっくりしてそう言うと、岩本さんは否定もせずにジョッキに残ったビールを一気に飲み干す。
やっぱり美咲さんのために来たようだ。

「美咲さん彼氏いるんですからね」

「でも、こんなにあからさまに口説いてるのに食事の約束してくれるって、脈がなくはないよね」

「うーん……」

岩本さんと二人で飲みたくないから私を誘ったんですよ、とは言えなくて曖昧に苦笑いする。

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