□TRIFLE□編集者は恋をする□
「なにそれ。悪口?それとも惚気?」
「別に。どっちでもなくただの事実」
予想外の片桐の返答に、思わず口がぽかんと開いた。
一体どんな女の人と付き合ってるんだろう。
すごく気になる。
目の前の男をこっそり観察していると、編集部の電話が鳴りだした。
「あ、私でるよ」
電話に手を伸ばしかけた片桐を制しながら、大きな音で鳴る受話器を取った。
「はい。TRIFLE編集部です」
『もしもーし。あ、もしかして平井さんですかー?』
私の言葉にかぶせるように聞こえてきたのは明るい男の人の声。
「はい、平井ですが」
相手は軽く酔っているようだけど、一体誰だろうと不思議に思う。
『北日本印刷の大下です』
「ああ、大下さん」
今日の朝、名刺交換したばかりの大下さん。
こんな時間に編集部に電話してくるなんて、どうしたんだろう。
『今飲んでたんですけどねー、さっき偶然TRIFLEさんの編集長に会ったんですよー』
ああ、やっぱりお酒が入っているんだ。
若干呂律の回らない口調から、相当酔っているのが伝わってくる。