□TRIFLE□編集者は恋をする□
「か、片桐……、どうして?」
「助けてって、言っただろ」
確かに助けてと言ったけど、どうして私があの店の個室にいるって知っていたの?
どうしてこんないいタイミングで助けにこられたの?
片桐は混乱する私を店の目の前に停めてあった車の助手席に押し込めるようにして乗せた。
「こんな場所に路駐しちゃダメじゃん。駐禁とられちゃうよ」
すすきののこんな車通りの多い場所に路駐するなんて。
「バカか。そんな事言ってる場合かよ」
反対側の運転席に座った片桐が、シートベルトを締めながら私の事を睨んだ。
乱暴にハンドルを切って、車を発進させる。
「お前は、なにやってんだよ本当に」
片桐は苛立った様子で煙草を咥え、ライターで火をつけた。
「そんな恰好で男と二人きりで飲むなんて、無防備すぎるだろ」
煙草の煙と一緒に長いため息を吐きだしながらそう言う。