□TRIFLE□編集者は恋をする□
 

「んん……っ」

大きく開いたVネックのニットからのぞいた左肩。そこに唇を這わせながら片桐が目線だけをこちらに向け私を見上げる。

その挑むような眼差しが色っぽくて、ぞくぞくした。

「あとは?」

「あとは……」

言い淀むと片桐が私の肌から唇を離し、助手席のシートの肩の部分に両手を付いて私を見下ろす。

「あとは、胸……」

怖いくらい真剣な表情に、下を向いて小さな声でつぶやく。片桐の眉間にシワがよった。

「胸?服の上から?」

「いや、あの……」

「服の中に手を入れられたのか?」

「う、うん……」

片桐は私に覆いかぶさったまま、大きく息を吐き出して「っとに、そんな服着てるから」苛立った声で言った。

そして私を閉じ込めるように助手席の背もたれの部分に腕をつく。
片桐の体重がこちらに移り、ぎしりとシートが微かに軋む音がした。

「片桐……、んんっ」

長い指が私の頬に触れ上を向かされると、唇が塞がれた。
開いた隙間から、湿った舌が入って来て乱暴に私の舌を絡め取る。
口内をなぞる舌の感触に、びくんと身体が勝手に跳ねた。

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