□TRIFLE□編集者は恋をする□
どうして。
どうして片桐がこんなタイミングで私を助けに来てくれたのかとか
どうして美咲さんって彼女がいるのに私にこんな事をするのかとか
疑問はたくさんあったけど、この目の前の男が欲しいという欲望が私の理性をねじ伏せた。
この切れ長の黒い瞳に見つめられると、簡単に理性が揺らぐ。
普段は意識もしない体の中心が熱くなり、そこから何かがとろりと溶けだすのを感じて、思わず腰が浮いた。
「ん……っ」
薄暗い車内で、何度も角度を変え繰り返すキス。
時折漏れる吐息と舌を絡ませ合う水音が静かで狭いその密室に響いて、余計に体が熱く疼いた。
こんな道端の止めた車の中で、こんなキスをするなんて。
誰に見られるかもわからないのに。
なんて、そんな当然の事を考える余裕はもうなかった。
助手席に覆いかぶさる片桐の首に両手を回す。
シートベルトのせいでうまく動けない体がもどかしくて、きゅっと膝を擦り合わせながらもっとキスをせがむように片桐の体を引き寄せようとすると、
ふいに、それまで続いていた激しいキスが止んだ。