□TRIFLE□編集者は恋をする□
確かにそうだ。
美咲さんから見たら、私は自分の彼氏を奪おうとしたひどい女なんだろう。
……でも。
『もっと自分を信用しなさい』
今朝葉月さんが言ってくれた言葉が、自分の背中を押してくれた。
「美咲さんには悪いと思いますけど、でも謝りません」
背筋を伸ばして前を見て、私は自分の気持ちを確かめるようにして静かに言った。
「私、本気で片桐の事が好きだったから、謝りません」
「むかつく……」
軽快なBGMが流れるやけに明るく清潔感のあるドラッグストアの店内で、お互いに買い物かごを片手ににらみ合う二人の女。
もう閉店間際の時間のせいか店内に客の姿はまばらだけれど、時折通り過ぎる店員さんが不思議そうに私たちを横目で見ていく。
「でも、もうフラれちゃったんですけどね」
私がぽつりと付け足すと、美咲さんが驚いたように顔を上げた。
「は?フラれたの?」
そんな事、いちいち念を押すように聞いてこなくても、と思いながら渋い顔して頷く。
美咲さんは大きな目を真ん丸にしたまま、何か言おうと口を開いた。
その時、私のポケットに入っていたスマホが震えだした。