□TRIFLE□編集者は恋をする□
 

「この前のミスで迷惑かけた分、挽回させてください」

私がそう言うと、編集長は電話の向こうで呆れたように小さく笑う。

『わかった。じゃあお前に任せる。なんかあったら電話しろ』

「はい。わかりました」

ぷつりと電話を切って顔を上げる。美咲さんが呆れた顔でこちらを見ていた。

「……今からまだ仕事するの?女のクセに無理して仕事ばっかりして、バカみたい」

美咲さんは苛立ったように腕を組み、私の事を睨む。

「何の為にそんなに仕事するの?誰かにえらいねって褒められたいわけ?頑張ってる自分アピールして、一緒に働いてる男に媚び売ってるわけ?」

「そんなんじゃ……」

確かに自分でも仕事バカだと思うけど、無理してるつもりはない。
誰かに褒めてもらうためにやってるわけでも、まして自分の頑張ってる姿を編集長や片桐たちに見せて媚びようなんて思った事もない。

私は、自分がやりたいからやってるんだ。

そう言いかえそうと思ったけれど、美咲さんのどこか複雑そうな顔を見て全く違う言葉が口から出た。

「じゃあ美咲さんも仕事します?」

「は……?」

「私今から編集部戻って仕事するんで、一緒に来ませんか?」

私の誘いに、美咲さんは目を丸くしてぽかんとしていた。


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