□TRIFLE□編集者は恋をする□
 

パチン、と電気をつけて、人のいない深夜のフロアを自分のデスクに向かって歩く。

「ちょっと、部外者を勝手に入れていいわけ?」

美咲さんは私の後ろを歩きながら、キョロキョロと周りを見回した。

「大丈夫ですよ。読者さんが見学に来たりするし」

私の誘いなんて絶対断られるだろうなと思ったけれど、意外にも美咲さんは不機嫌そうな顔をしつつ編集部までついてきた。

昼間に届いた文房具が入った段ボールを開き、添えられたリストを見ながらデスクの上に並べてチェックする。
新型のホチキスにクレヨン型の蛍光マーカー、色々な形に切れるハサミ、薄型の消しゴム、色の消える色鉛筆、面白いデザインのカラフルで可愛らしい付箋……。
目新しくて便利なのはもちろん、紙面に載せた時にパッと華があるものがいい。
なんて考えながら、読者の興味を引きそうなものをピックアップして立ち上がった。

「美咲さん、これ持って移動しますね」

「は?どこかに行くの?」

「パッケージの状態の写真を撮っておきたいんで、隣のスタジオに行きます」

そう言いながら、自分のデスクの下に置いてあるカメラが入ったバッグを肩にかけ、スタジオの鍵を持つ。

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