□TRIFLE□編集者は恋をする□
「あと一度編集部に戻って、コピー用紙を何枚か持ってきてくれます?それからさっきの私のデスクの上に置いてある緑のノートも」
まるで普段デガワと仕事をしているような調子で、どんどん美咲さんに指示をする。
「え?何?コピー用紙ってどこにあるのよ」
「入ってすぐのプリンターにささってるんで、そこから引き抜いてきてください。あ、あとそのそばにミスプリントがまとめて入ってる箱があるんで、その中から見栄えしそうなのを何枚か」
「ちょっと待ってよ!コピー用紙とミスプリント何枚かと、何色のノートだっけ?」
「緑のノートです。それから……」
ぶつぶつ言いながらスタジオの出口へと歩く美咲さんの背中に早口で続けると、眉を吊り上げて私を振り返った。
「何!?まだあるの!?」
「あとひとつだけ。私のデスクの下にある紙袋にひざ掛けが入ってるので、使ってください。このスタジオ、エアコンの効き悪いからその恰好じゃ寒いでしょ」
文句を言おうとしたのか勢いよく口を開いた美咲さんは、私の言葉に一瞬黙り込むと、指を折って今言われた事を確認しながらスタジオを出て行った。