□TRIFLE□編集者は恋をする□
「美咲さん、綺麗な字ですね。指もすごく綺麗だし」
そう言いながら、新製品のペンで文字を書く美咲さんの手元を写してシャッターを切る。
「うるさいなぁ。そんなお世辞いらないから、さっさと撮ってよ」
音をたてて光るストロボに、最初は居心地のわるそうだった美咲さんも何枚も撮るうちにすっかり慣れたようで、台の上のノートの上にさらさらと文字を書いてみせる。
「お世辞じゃないですよ。美咲さんがいてくれて助かりました。一人だったらこうやって実際に使ってる写真撮れなかったから。あ、このマーカーでこの文にライン引いてもらえます?」
「こっち?」
「はい。ピンクのマーカーで。次、この手帳に何枚か付箋貼ってください。デザインの可愛らしさが引き立つようにポップな感じで」
「あんたって本当に人使い荒いよね」
「よく言われます」
カメラのファインダーを覗いたまましゃべり続ける私に、美咲さんは諦めたように大きなため息をついた。
「美咲さんって、並べ方とか色彩感覚とかセンスがありますよね。さすが美容師さん」
最初はいやいや手伝いをしていた美咲さんだけど、撮影が進むうちにどんどん真剣な表情になってきた。
今も色とりどりの付箋をお願いした手帳の上に、何度も首を傾げバランスを見ながら綺麗に貼ってくれている。
「元、だけどね」
わざわざ元をつけて言い直す美咲さんだけど、でもまんざらでもないようで、楽しそうに仕事をしていた。