□TRIFLE□編集者は恋をする□
「さ、こんな感じでどうですか?」
おばちゃんに髪形の全体が分かるように、病室に置いてあった折り畳みの鏡と手鏡を合わせて見せる。
「いいねぇ!すごくさっぱりしたし、ちょっと若くなったんじゃない?」
何度も首の角度を変えて手でうなじをなでるおばちゃんは、本当に嬉しそうだった。
「さすが美咲さん。おばちゃん、本当に似合ってるよ」
「ふふふ、私の元がいいからねぇ」
おばちゃんの髪の毛を払いながら、美咲さんも嬉しそうに微笑んでいた。
「ずっと座りっぱなしで疲れましたよね。ここの後片付けをするので、ベッドに戻っていてもいいですよ」
おばちゃんの首元からケープを外しながら優しく言った美咲さんは、
「あんたはナースステーションからホウキとちり取り借りてきて。できれば掃除機も」
私にはそう厳しい口調で命令する。
「美咲さん、おばちゃんと私に対する態度が違いすぎる」
「当たり前でしょ。なんで私があんたに優しくしなきゃいけないのよ」
「まぁ、そうですけど」
「……あんたたちは仲がいいねぇ」
私たちの言い争いを見てぽつりとそう言ったおばちゃんに、「え?どこが!?」と二人で同時に声をあげた。