□TRIFLE□編集者は恋をする□

 

「あんたの事だって、仕事バカの不器用な女だって言ってたんだからね」

「え、片桐が私の事を美咲さんに話していたんですか?」

片桐と美咲さんが私の事を話題にするなんて、一体どういう状況で。
聞き返すと、美咲さんは「あっ」と言葉に詰まりすぐに顔を背けた。

「なんでもない!」

「なんでもないってなんですか。変に誤魔化されると余計に気になるんですけど」

「あんたなんかに絶対教えてあげない!」

「なんでですか?」

「うるさい、この仕事バカの鈍感女!」

ギャーギャーと言い争いをしていると、通りがかった車いすを押す優しそうな女性が、あら楽しそうねぇとほがらかに笑った。

「あ、騒いですいません」

ここが病院だと思い出して、慌てて声のボリュームを絞る。

「いいのいいの、この談話室端っこにあるからあんまり声が響かないし。それよりも、美容師さんなの?」

「あ、はい。元ですけど」

「え……!本当に!?」

美咲さんがうなずくと、車いすに座っていた小学生くらいの女の子の目が輝いた。
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