□TRIFLE□編集者は恋をする□
 

可愛らしいその子の足には、大きなギプスがされている。
彼女は美咲さんにむかってモジモジしながら口を開いた。

「あ、あの。私の髪も切ってくれませんか……?」

「え?」

消え入りそうなほどの小さな声に、美咲さんは眉間にシワを寄せて聞き返す。
すると、女の子はびくっとして慌てて首を横に振った。

「あ、ごめんなさい。なんでもないです……」

怯えた様子の彼女の前で、私はしゃがみ視線を合わせて問いかける。

「髪の毛を切って欲しかったの?」

「前髪だけでいいから、切って欲しかったの。お母さんに頼むといつも失敗するし……」

女の子は恥ずかしそうに下を向きながら、小さな声で答えてくれた。

そう言われてみてみれば、女の子の前髪はずいぶん伸びているようで、頬にかかるくらいの長さの前髪をピンで留めておでこを出していた。

< 291 / 396 >

この作品をシェア

pagetop