□TRIFLE□編集者は恋をする□
 

「平井さん、フラれちゃったんですか!?」

「わざわざ大声で確認しないでよ」

「だってフラれたわりに、平然と片桐さんと話してるじゃないですか」

「仕事だもん。普通に話すよ」

「もう、片桐さんの事好きじゃないんですか?」

「それは……、まだ好きだけど」

「好きなら、仕事で顔を合わせるの辛くないんですか?」

「辛い……?」

辛いんだろうか。
確かに片桐を見るといまだに胸がドキドキするけど。
美咲さんとのことを思うと胸が苦しくなるけど。
でも片桐と仕事の話をしていると、すごくやる気が出る。
片桐に認められると、すごく嬉しい。
もっともっと頑張ろうと思える。

「きっと、異性として好きっていうのもあるけど、私はそれ以上に片桐が仲間として尊敬してるんだと思う」

「仲間……?」

「うん。一緒に仕事する仲間として尊敬してるから、適当な仕事をして呆れられたくないし、片桐が驚くようないい仕事して、認められたいし……」

私がたどたどしい言葉でそう言うと、三浦くんは小さく笑った。

 
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