□TRIFLE□編集者は恋をする□
「というわけで、表紙は違うカメラマンに平井さんを撮ってもらいます」
「新田さん、それ本気じゃないですよね?冗談ですよね?」
教会へと続く大きなコンクリートに沿った森の中のアプローチを進みながら、すがるような気持ちでそう言う。
前を歩く新田さんは真剣な表情で振り返った。
「冗談じゃないわよ。本気でいい写真が撮れるって思ったから、こうしたの」
「でも、ド素人の私がウエディング本の表紙なんて、いくらなんでも冒険しすぎです」
「前に仕事中の平井さんを写した写真見せてもらった事があったでしょ?」
「あ、はい……」
たしか冬のホテルで雪景色のチャペルの撮影をした時だ。
三浦くんがいたずらなのかいやがらせなのか、片桐が写した私の写真を見せてきたことがあった。
「カメラマンに表紙の撮影をお願いして、平井さんがモデルなら撮ってもいいって言われた時は驚いたけど、すぐにあの時の写真を思い出して、この二人なら絶対素敵な表紙が作れるって確信したからオッケーしたの」
「え……。って事は、撮影するカメラマンってまさか……!」
「最初から言ったら、平井さん絶対色々口実を作って撮影してくれないと思ったから、内緒にして騙すような事してごめんね」
「いや、ちょっとまってください新田さん!」