□TRIFLE□編集者は恋をする□
ほとんど引きずられるようにして、チャペルの中へと連れて行かれる。
コンクリート造りの無機質で薄暗い廊下を進み、チャペルの扉を開いた瞬間、視界が開け光に溢れた。
その光の中に、見慣れた男の姿があった。
周りのスタッフの誰よりも背の高い綺麗な立ち姿。
黒い髪を無造作に後ろで一つにくくった髪形。
意志の強そうな切れ長の黒い瞳。
男らしい首筋から、ごつごつとした喉仏、広い肩幅。
大きなカメラも楽々と扱える逞しい腕。
もうイヤってほど見慣れているはずなのに、彼を見るたびときめいてしまう自分がくやしい。
彼がゆっくりとこちらを振り向く。
驚いたように動きを止めると、眩しい物でも見るように目を細め私を見つめた。
「……綺麗だな」
ウエディングドレスを着た私を見下ろして、片桐はそう言って笑った。