□TRIFLE□編集者は恋をする□
 


長い指がぎゅっと力強く私の手を握る。
そして、光が溢れるチャペルの中心へと連れ出された。

手をつないで歩きながら、時折こちらを振り返る片桐の視線が優しすぎて胸がつぶれそうになる。
目の前にいるこの人の事が、愛おしくて泣きたくなる。



片桐は、美咲さんのものだってわかってるのに。



静かな水面から森へと広がる自然と一体化したチャペル。
泉の中に浮かぶように佇む、大きな白い十字架。
神様に懺悔をするような気持ちで十字架に向き合って目をつぶると、いつの間にカメラを持ったのか、片桐がシャッターを切る音がした。

ゆっくりと振り返ると、真剣な表情でファインダーを覗く片桐がいた。

髪は無造作にひとつに結んだだけだし、飾り気の無い恰好なのに、カメラを持つその表情はどんなに着飾って気取った男よりも、ずっと魅力的で色っぽい。

< 326 / 396 >

この作品をシェア

pagetop