□TRIFLE□編集者は恋をする□
 


「っとに、お前はすぐ男に口説かれるよな」

家に帰り、暑い暑いと言いながら窓を開け放ち扇風機を回す平井を見て、ため息をつく。

「え?なに?」

酔っ払いの平井は、ふらふらとおぼつかない足取りでソファに座る俺の近くまでくると、ぺたりとフローリングの上に腰を下ろした。

「床、冷たくてきもちいいよー」

なんて言いながら、ごろりと床に転がる酔っ払い。
細い手足が床に投げ出され、汗ばんだ肌にまとわりつく髪をじゃまくさそうにかきあげる。

「片桐もおいでよ」

ソファに座る俺を見上げて、とろりと甘い表情で笑う。

「なに、誘ってるのか?」

「ん?」

床に転がる平井の頬に張り付く髪を、優しく指で払う。
すると平井は幸せそうに目を細めた。

その無防備な笑顔が愛おしくて、身を屈めそっと触れるだけのキスをした。

< 384 / 396 >

この作品をシェア

pagetop