□TRIFLE□編集者は恋をする□
「片桐……」
酔いのせいでもう眠たいんだろう。
うとうとと目を伏せた平井が、舌っ足らずな口調で幸せそうに俺の名を呼ぶ。
「何?」
「すき」
ぽつりと言って、目を閉じたまま無邪気に微笑む。
そして、すうすうと幸せそうな寝息をたてはじめた。
「……お前は、本当にずるいよな」
鈍感で不器用で無防備で無邪気で。
平井の発する一言一言に、簡単に振り回され心を揺さぶられる。
些細なことに嫉妬して、余裕なんてなくて、どんどん好きになっていく。
我ながらなんて情けない男だろう。
ため息をつき目を閉じた平井の頭を撫でながら、ポケットから煙草を取り出す。
火を付けて一口吸い込んだ時
「ずるいのは、片桐だよ」
と、拗ねたような声が聞こえた。
もう寝てしまうだろうと思っていたのに、床に寝転んだまま平井はこちらを見上げていた。