□TRIFLE□編集者は恋をする□
 

「片桐はいつも余裕でずるい。私が酔っぱらった大下さんに絡まれてる時も、平気な顔して」

「平気な顔をしてるように見えたか?」

「見えたよ。もうちょっと慌ててくれてもいいのに」

ごろりと平井が寝返りを打って、こちらに背を向ける。

「いつも私ばっかり嫉妬してる」

「は?」

心当たりがなさすぎて、思わず眉をひそめた。

「今日だってビヤガーデンで、近くのテーブルの女の子たちが片桐を見て、カッコいいって騒いでたのに、涼しい顔して平然としてさ」

「そんなの気付かなかった」

「片桐は女の子にカッコいいって言われるの、慣れてるもんね」

「そうじゃなくて」

拗ねていじける平井に、はぁーっと大きく息を吐き出す。
ソファの脇に置いてあった灰皿を引き寄せて、乱暴に煙草を押し付け火を消した。

「じゃあなに?」

寝転がる平井の顔の横に手をついて見下ろした。

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