□TRIFLE□編集者は恋をする□
「なんだぁ、編集長ですか。お疲れ様ですー。丁度高速降りたところなんですか?」
きっと運転中の片桐に代わって、同乗していた編集長が電話に出たんだろう。
「珍しく平井さんがおごってくれるって言うから、編集部の近くの居酒屋さんで飲んでるんです。あたしと、三浦くんと。片桐さんも来ないかなーと思って電話したんですけど」
そう言うと、デガワは耳に当てていたピンクのスマホを私の方に差し出した。
「ん?何?」
「編集長が、平井さんに代われって」
なんで編集長が私に?仕事の話かな。
そう思いながら電話を受け取る。
「はい、代わりました。平井です」
『お前、吉乃で飲んでんのか?』
「そうですけど」
『出川と三浦と三人で?』
「はい」
『珍しいな』
確かにこの三人で飲むのは珍しい。
会社の飲み会で編集部全員で飲むことはあっても、プライベートでこうやって話をするのは初めてだ。
『お前、この前のミス気にしてんのか』
「…………」
電話の向こうからズバッとそう言われて、思わず言葉に詰まった。