□TRIFLE□編集者は恋をする□

 

校了中にデガワが誰にも聞けず勝手な判断をしたミス。
あの日から、もうそんなミスを繰り返す事の無いように、話しかけやすい雰囲気になるように気を使っていた。
今日デガワと三浦くんを誘ったのも、実は二人ともっと打ち解けたかったからだ。
それを編集長に見透かされていた事が、なんだか悔しい。

「別にそう言うわけじゃないです」

仏頂面でそう返すと、『ふーん。まぁいいけど。飲み代俺のツケにしていいからな』とだけ言って一方的に電話が切れた。

「編集長、何か言ってました?」

不思議そうに私の顔を覗き込むデガワと三浦くんに、「今日の飲み代は編集長にツケといていいって!」と大きな声で言う。

「あらあら。じゃあ若い子たちに美味しい物いっぱい食べさせてあげなきゃね!」

私の声を聞きつけたお店のおばちゃんが、カウンターの中で嬉しそうに腕まくりをした。


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