□TRIFLE□編集者は恋をする□
 

お酒を飲みすぎたから、手を握られたくらいでこんなに動揺してるんだ。
自分の赤い頬と速い鼓動をアルコールのせいにして無理矢理納得する。

今日はもう帰ろう。
明日が休みだとはいえちょっと飲みすぎた。

そう思いながらトイレを出ると、狭い通路に三浦くんが立っていた。

リラックスした様子で壁にもたれかかっていた三浦くんは
私が出て来たのに気付くと、体を起こしてにっこりと笑った。

「どうしたの?三浦くんもトイレ?」

私の進路を塞ぐように立つ彼を見上げると「平井さん、もう今日は帰りましょうか」とささやかれた。

「え?」

「はいコート」

いつの間に荷物をまとめたのか、三浦くんは私バッグを持って、コートに腕を通しやすいように広げてくれた。

「あ、ありがとう」

それがあんまり自然だから、思わず素直にコートに腕を通してしまう。
いや、違う違う。ありがとうじゃないって。

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