□TRIFLE□編集者は恋をする□
「帰るって、デガワは?」
三人で来たのに、デガワを置いて行くわけには行かないじゃない。
そう思い、店の奥のデガワの方を覗く。
「あ、平井さーん。あたしもうちょっと飲んでいくから大丈夫ですよー! お疲れさまでーす」
目が合ったデガワはこちらに向かってご機嫌に手を振っていた。
「ほらね。行きましょ」
「いやでも、お会計……」
「あぁ平井ちゃん、編集長のツケにしとくから大丈夫よー。あんた酔ってるからその若いイケメンにお持ち帰られないように気を付けなさいよー」
なんて大声で言いながら笑うおばちゃんに、「大丈夫でーす。責任もってお持ち帰りするんで」と冗談で返す三浦くん。
三浦くんに促されて、なんだかよくわからないまま店の外に出る。
湿度の高い暖かい店内から急に秋の涼しい風に吹かれ、足元からぶるっと上がって来た寒気に思わずよろけた。
「大丈夫ですか?」
さっと三浦くんが腕を伸ばし、私の肩を抱く。
見上げると驚くほど近くに、三浦くんの顔があった。
白い綺麗な肌に、長い睫毛。
茶色の髪と同じように、色素の薄い瞳。
うわ、綺麗な目。
カラコンなのかな。
その瞳の中に映る自分の影をぼんやりと眺めていると、三浦くんがくすりと笑った。