□TRIFLE□編集者は恋をする□
 

「ちょ……っ!三浦くんっ」

やめてよ!と彼を睨むと、視界いっぱいに私を見下ろす三浦くんの綺麗な顔。
アルコールのせいか少しうるんで色っぽさを増した薄い茶色の瞳が優しく微笑みながら、私の腰に回った腕に力が込められた。

男の人の腕の中で、きつくきつく抱きしめられる感覚。
全身がぴたりと密着した状態で、伝わるお互いの鼓動と体温。

なんだこれ。
なんだこれ。
なんだこれ。

なんなんだこの状況は。


その腕の中で身動きすらとれぬまま、ぐるぐると頭の中で考えていると、私の顔をのぞきこむ三浦くんと目があった。

三浦くんはそんな私の動揺なんて知ってか知らずか、ふっと優しく目を細め幸せそうな微笑みをむけてくる。


 『もう何年も女扱いなんてされてなかったからさ、素直に嬉しくて』

今朝、電話越しに聞いた夏樹の幸せそうな声を思い出した。


そうか。女扱いって、こういう事か。


体の中に流し込んだアルコールと7年ぶりの抱擁は、私の感覚を麻痺させるには十分で、こういうのが正しい女の幸せの形なのかななんて、ぼんやりと思った。

けれど……。

「三浦くん、離して……」


やっぱり、この腕の中は落ち着かなくて、そう口にした時だった。

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