□TRIFLE□編集者は恋をする□
そうか。
編集長の事だから、自分のツケでどんだけ飲み食いしたか気になって片桐に様子を見てくるよう頼んだのかもしれない。
なんてぼんやりと思っていると、俯いて煙草に火を付けながらこちらに向かって歩いてきた片桐が、乱暴に私の腕を掴んだ。
「きゃ……っ」
それじゃなくても酔いで足元がおぼつかないのに、背の高い片桐に突然腕を掴まれた私はバランスを崩した。
目の前で転びそうになった私を片腕で軽々と支えた片桐は、口から白い煙を吐き出しながら
「じゃ、お疲れ」
と、三浦くんに向かって冷たく言う。
「えー?」
なぜか片桐の腕の中にいる私を不満そうに見て口を尖らす三浦くんに、片桐は長い溜息と一緒にゆっくりと白い煙を吐き出し、目を細め無言で彼の事を見下ろす。
「ちぇー。わかりました、大人しく帰りますよ。平井さんお疲れ様でーす」
その視線で何を感じ取ったのか、三浦くんは小さく肩を上げた後いつものように笑ってそう言った。
「あ、お疲れ様……」
ぽかんとしたままそう言った私に、小さく手を振って歩いていく三浦くん。
その姿を、ほっとした様な拍子抜けしたような気持ちでぼんやりと見ていると、
「お前、何やってんだよ」
片桐は呆れたように低い声で言った。