□TRIFLE□編集者は恋をする□
片桐の腕を振りほどきながらそう叫んだ私を見て、片桐が苛立ったように舌打ちをした。
「そんなに女扱いされたいなら……」
ふわりと漂った煙草の香り。
乱暴に体を引き寄せられ、視界に夜空が映った。
ビルの間から覗いた夜空には、雲のせいか人工の明りのせいか星は一つも見えなくて、半分欠けた月だけがぽつんと浮かんでいた。
「俺がしてやるよ」
耳元でその声が低く響いたと同時に、私の視界は遮られていた。
さっきまで見えていた月を覆い隠すように、私の視界を奪ったのは片桐の顔だった。
口移しで私の中に流れ込んできた煙草の香りに、キスをしている事に気が付いた。
なんで。
なんで、片桐と私がキスをしてるんだろう。