エリート御曹司はママになった初恋妻に最愛を注ぎ続ける

 駐車場へ移動し、この日のために後部座席に用意したチャイルドシートに胡桃ちゃんを乗せ、亜椰はその隣に座る。

 胡桃ちゃんはやはり少し緊張気味らしく移動中も口数が少なかったが、目的の施設の駐車場に到着して車を降りると、俺が差し伸べた手を握ってくれた。

 手の大きさが違いすぎるので、胡桃ちゃんが掴んでいるのは手と言うより指先だけだが、それでもやわらかい肌の感触や温もりが伝わってくる。

 胡桃ちゃんへの愛おしさが胸にこみ上げるとともに、今までそばにいられなかった後悔が胸を苛んだ。

「……ごめんな」

 気が付いたら、胡桃ちゃんに向かってそう謝っていた。胡桃ちゃんは俺を見上げ、不思議そうに首を傾げる。

「なんでごめん?」
「うーん……色々、いっぱい」
「くるみ、くまさんうれしいよ?」

 車に乗っている時も、そして今も片手にクマを抱いている胡桃ちゃんにそう言われ、胸が詰まる。俺を励まそうとしてくれている気持ちが、痛いほどに伝わってきたから。

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