エリート御曹司はママになった初恋妻に最愛を注ぎ続ける

「そっか。喜んでくれてよかった」
「あとね、そうだ、あのね」
「ん?」

 一生懸命に言葉を探して話しかけてくれようとする姿が健気で、思わずしゃがんで目線を合わせる。

「パパ、きっちん、ありやと」

 照れたようにモジモジしながらも、しっかり俺の目を見てそう言ってくれた胡桃ちゃん。

 初めてパパと呼ばれた感動と、わが子に『ありがとう』と言ってもらえた歓喜がどっと胸に押し寄せ、思わず目頭が熱くなった。

「俺の方こそ、ありがとうだ」

 感極まった俺は胡桃ちゃんを抱き上げ、頬ずりしてしまう。

「あははっ、くすぐったいよ」
「ごめん。大好きだよ、胡桃」

 他人行儀に胡桃ちゃんと呼んでいるのがまどろっこしくなり、俺は大切な宝物を扱うように、その名を呼んだ。

 胡桃もニコッと微笑んで、言葉で応える代わりに、俺の体にしっかり抱きついてくれた。

〝ありがとう〟や〝大好き〟は、幼い頃の俺が喉から手が出るほど欲しくて、けれども手に入らなかった言葉。

 今から親にねだろうとは思わないが、その代わり自分から我が子に伝えるだけでも、ぽっかり空いていた心の空洞に、温かいものが満ちていく気がした。

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