エリート御曹司はママになった初恋妻に最愛を注ぎ続ける

 駐車場から建物内へ入り、入場の手続きをしてプレイゾーンに入る。

 トランポリンや滑り台、ボールプールなど、子どもの喜びそうな遊具が広々としたフロアに並んでおり、家族三人で順番に楽しむ。

 我が子を見守りながら休憩できるベンチもあったので、繰り返し滑り台を楽しむ胡桃に手を振りながら、亜椰と俺は一旦そこに腰を落ち着けた。

「すっかり仲良しですね。心配して損しちゃった」
「そうか? でも、まだまだ亜椰との絆には及ばないだろ」
「まぁそこは仕方ないです。簡単に追い抜かれちゃったら私の立場がないですし」

 亜椰は冗談めかしてクスクス笑っているが、本当にその通りだと思う。

 家族の助けがあったとはいえ、出産という大仕事を乗り越え、胡桃をこの年まで健やかに育ててくれた亜椰を、俺は心から尊敬する。と、同時に、これからは遠慮なく俺にも頼ってほしいと思う。

「亜椰」
「はい?」
「子どもの頃よりも、再会したときよりも、今が一番好きだ。結婚してくれ」

 亜椰は大きく目を見開き、頬を赤く染める。

 子どもたちのはしゃぐ声に溢れたこの空間に、甘いムードもなにもない。

 しかし、亜椰と、そして胡桃と家族になりたいんだという思いは、この場所だからこそ伝わる気がした。

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