エリート御曹司はママになった初恋妻に最愛を注ぎ続ける
少しして、亜椰が決心したように俺を見る。気持ちが重なっている実感はあっても、その口からきちんとした答えを貰うまでは心が落ち着かず、鼓動がうるさい。
「私も、瑛貴さんが好きです。喜んで、あなたの妻になります」
「亜椰……」
「瑛貴さんと出会えて、本当によかった。三人で、あったかい家庭を作りましょうね」
亜椰はそう言って微笑むと、遠慮がちに俺の手を握った。
俺のためを思って紡がれた言葉が、優しく胸に沁み渡っていく。
「ああ。幸せになろう、三人で」
深く頷いて彼女の手を握りながら、実の母親に怯えていた幼き日の自分を思う。
父親が家にいない日は、ただただ孤独で真っ暗にも思えた広い家で、膝を抱えていた。
そんな暮らしに光を与えてくれたのが子どもの頃の亜椰で、ずっとずっと、俺は彼女と家族になりたかった。
暗い洞穴にいた俺に手を差し伸べ、助け出してくれた彼女を、今度は俺が支える番だ。
「指輪だけ、もうちょっと雰囲気のある場所で渡すから待っててくれ」
「ふふっ、ここでもいいのに。前回は玄関だったじゃないですか」
「それを言うなよ。あの時はずっと捜していたきみが見つかったばかりで、焦っていたんだ」