エリート御曹司はママになった初恋妻に最愛を注ぎ続ける
約束を取り付けた瑛貴さんは、その後流暢な英語で店主と購入の手続きを交わし、『この後秘書と待ち合わせて仕事だから』と店先でタクシーに乗り去って行った。
忙しない人だ。社長だから、当たり前なのかもしれないけれど。
再びひとりになった私の手には、彼の名刺。裏面には別れ際に彼が記した、プライベート用の携帯番号の数字が並んでいる。
初恋といっても幼い頃だし、彼がその相手だと決まったわけではない。それでも心臓がドキドキ暴れてしまうのは、きっと私の恋愛偏差値が低すぎるせいだ。
もし彼が本当にえーきくんだとしても、ままごとで交わした結婚の約束を覚えているわけもないし、懐かしい昔話をしたいだけに決まっている。
しつこいくらいに自分に言い聞かせて再びショッピングを再開するが、目に留まる店はなぜか家具や雑貨店よりも、アパレルショップ。
「立派な企業の社長さんと食事って……どんな服を着ていけばいいんだろう」
瑛貴さんがどんな店で食事するつもりなのかわからないけれど、私のスーツケースにはカジュアルな服しか入っていない。
この際新調した方がいいだろうか。しかし、気合いを入れすぎて逆に浮くのも恥ずかしい。