エリート御曹司はママになった初恋妻に最愛を注ぎ続ける
「帰るのは明後日と言っていたよな?」
「そうです。瑛貴さんは?」
「明日の昼過ぎの便だ。だけど……」
彼の瞳が切なげな色を浮かべ、私を映す。それから慈しむように頬を撫でられ、もう一度軽いキスが唇に触れた。
二度目でも慣れることはなく、火が出そうなほど頬が熱い。
「まだ、きみと一緒にいたい」
「えっ……と、どこか、開いているお店に入りますか?」
「そういう意味じゃない」
クスッと上品に微笑んだ瑛貴さんが、私の耳元に唇を寄せた。
「きみを抱きたいと言ってるんだ」
ストレートすぎる誘い文句が、私の鼓膜を震わせる。
しかし、こんな恥ずかしい会話を男性と交わした経験のない私は、はいともいいえとも言えず困り顔で彼を見つめるしかできない。
「嫌だと言わないなら、本当に連れて帰るぞ」
探るような目をして、瑛貴さんが私の瞳を覗く。
「嫌じゃ、ないんですけど……こ、心の準備が」
凄まじい照れと緊張で慌てていると、目の前の道路に一台のタクシーが止まる。瑛貴さんが窓を開けた運転手とやり取りし、彼が頼んだ一台がようやく来たのだとわかった。