エリート御曹司はママになった初恋妻に最愛を注ぎ続ける
「あぁ、こないだ引っ張りあげてやった故障車の? 確かに、この辺じゃ見ないアーバンな雰囲気だったなぁ。乗ってたの、どこの社長さんって言ってたっけ?」
叔父さんが宙を睨みながら、叔母さんに尋ねる。
「あたしは聞いてないけど、あなた名刺をもらってなかった?」
「そうだっけ? ポケットに入れたまま洗濯しちまったかもなぁ」
「あれ、名刺だったのね。ポケットの中、バラバラになった紙だらけで大変だったわよ」
叔母さんの文句にも「すまんすまん」と豪快に笑って、また美味しそうにビールを呷る。
さっきのようなお節介発言はちょっぴり困るけれど、裏表がない性格なので憎めない。ややうっかりした一面も、私たち家族を和ませてくれる。
「これ、亜椰ちゃんが作った?」
麻人さんの声で我に返る。
彼が箸で掴んでいるのは、私の作った卵焼きだ。半分だけかじってある。
「そうです。もしかしてお口に合わなかったですか?」
「ううん、逆。うちのお袋とか春枝さんの作るのより甘くて俺好み」
叔母さんに聞こえないよう、麻人さんが私の耳元でこそっと告げる。それから子どもようにぱくっともう半分を口に放り込んだ彼に、ついクスクス笑ってしまった。