Lost at sea〜不器用御曹司の密かな蜜愛〜
「これは六花に言ったら怒られるかもしれないけど……出産の日にご両親が連絡をくれて、六花がお姉さんや妹さんと話している時に、カーテンの裏側でまーちゃんを抱かせてもらったんだ」
「何それ……⁈ そんな勝手なこと……!」
驚き怒りを露わにした六花に、宗吾は勢いよく頭を下げる。
「勝手なことをしてごめん……。出産が終わってすぐに、六花が『彼にも抱かせてあげたかった』って呟いたって……」
「そ、それは……!」
言葉が続かなかった。初めて知る事実に怒りと困惑を同時に感じたのに嫌な気持ちにはならなかったのは、それが事実だったから。
愛生が生まれてすぐに、宗吾にそっくりな娘を見て彼を思い出して涙が出た。自分から去ったのに、急に宗吾に会いたくなってーーだから病室に一人でいた時、ついポロッと口に出してしまったのだ。
まさかそれを聞かれていただなんてーー。
「手の中にすっぽりと収まるくらい小さい赤ちゃんが、一生懸命に呼吸をして生きている。妊娠中は六花を陰で見守るしか出来なかったけど、これからは俺が二人を守りたい……いや、守るって心に決めたんだ」
嫌いで離れたわけじゃないし、もし普通に付き合って夫婦になっていたら一緒にこの時を迎えられたのかもしれない……なのに今は彼の身勝手な言い分にイライラしてしまう。
「そんなこと勝手に決めないでよ! 私の気持ちも知らないくせに! 親まで宗吾の計画に加担していただなんて……信じられない……」
「六花のご両親は何もしてないよ。時々『元気だから安心して』ってメッセージをもらっていただけ。親にとっては娘が一番だし、幸せを願っているのが当たり前なんだ。俺を気にはかけてくれたけど、六花が俺を拒絶したらもう近付かないって約束もした」
両親のその想いが今ならよくわかる。私だってまーちゃんの幸せのためなら何だって出来るからーー。
「だからチャンスは一度だって思ってた。親にも全てを話した。六花以外と結婚はしない。そう言ってお見合いは全て断ってもらって、六花にちゃんと選んでもらえるようにがむしゃらに仕事に打ち込んで、再会の日に臨んだんだ」
「ーー私が断ったら誰とも結婚しないわけ?」
「たぶんね」
どうしてそんな勝手なこと言うのよーーいつもの自信満々な宗吾はどこにいるの? なのにそれが私の心を強くしてくれる気がした。
「じゃあ……再会した時、どうして全て知っていることを秘密にしていたの?」
「六花は自分の意思で俺の元を去ったのに、『子どものことは知っているから結婚しよう』なんて言ったら警戒されるに決まってる。それに……六花の気持ちがわからないのに、強引に話を進めるなんて出来ないよ」
こんなに意気消沈している宗吾を見るのは初めてだった。
自信がないのは私だけじゃなかったのか……二人して怖がって、強がってしまったから、気持ちがすれ違ってしまったんだ。
「何それ……⁈ そんな勝手なこと……!」
驚き怒りを露わにした六花に、宗吾は勢いよく頭を下げる。
「勝手なことをしてごめん……。出産が終わってすぐに、六花が『彼にも抱かせてあげたかった』って呟いたって……」
「そ、それは……!」
言葉が続かなかった。初めて知る事実に怒りと困惑を同時に感じたのに嫌な気持ちにはならなかったのは、それが事実だったから。
愛生が生まれてすぐに、宗吾にそっくりな娘を見て彼を思い出して涙が出た。自分から去ったのに、急に宗吾に会いたくなってーーだから病室に一人でいた時、ついポロッと口に出してしまったのだ。
まさかそれを聞かれていただなんてーー。
「手の中にすっぽりと収まるくらい小さい赤ちゃんが、一生懸命に呼吸をして生きている。妊娠中は六花を陰で見守るしか出来なかったけど、これからは俺が二人を守りたい……いや、守るって心に決めたんだ」
嫌いで離れたわけじゃないし、もし普通に付き合って夫婦になっていたら一緒にこの時を迎えられたのかもしれない……なのに今は彼の身勝手な言い分にイライラしてしまう。
「そんなこと勝手に決めないでよ! 私の気持ちも知らないくせに! 親まで宗吾の計画に加担していただなんて……信じられない……」
「六花のご両親は何もしてないよ。時々『元気だから安心して』ってメッセージをもらっていただけ。親にとっては娘が一番だし、幸せを願っているのが当たり前なんだ。俺を気にはかけてくれたけど、六花が俺を拒絶したらもう近付かないって約束もした」
両親のその想いが今ならよくわかる。私だってまーちゃんの幸せのためなら何だって出来るからーー。
「だからチャンスは一度だって思ってた。親にも全てを話した。六花以外と結婚はしない。そう言ってお見合いは全て断ってもらって、六花にちゃんと選んでもらえるようにがむしゃらに仕事に打ち込んで、再会の日に臨んだんだ」
「ーー私が断ったら誰とも結婚しないわけ?」
「たぶんね」
どうしてそんな勝手なこと言うのよーーいつもの自信満々な宗吾はどこにいるの? なのにそれが私の心を強くしてくれる気がした。
「じゃあ……再会した時、どうして全て知っていることを秘密にしていたの?」
「六花は自分の意思で俺の元を去ったのに、『子どものことは知っているから結婚しよう』なんて言ったら警戒されるに決まってる。それに……六花の気持ちがわからないのに、強引に話を進めるなんて出来ないよ」
こんなに意気消沈している宗吾を見るのは初めてだった。
自信がないのは私だけじゃなかったのか……二人して怖がって、強がってしまったから、気持ちがすれ違ってしまったんだ。