Lost at sea〜不器用御曹司の密かな蜜愛〜
「……子どもは望まないんじゃなかったの?」
「あれは六花を安心させたくて言った言葉だったんだ。体の関係がなくても、最初は愛がなくても、ただそばにいてほしいと思っただけなのに、それが六花に余計な不安を抱かせることになった……謝ってもどうにもならないことはわかってる。それでも謝らせてほしい。本当にごめん」

 この数日モヤモヤとしていたものが、ようやく点と点が線で結ばれ少しずつ晴れていく。

「じゃあ……子どもが嫌なわけじゃないの?」
「むしろ大好きだよ。六花と俺の子だなんて、愛さない理由がない」

 全て萌音さんが想像した通りだったーーそう思うと、安堵したからか体の力が抜けていく。

「それならもっと早く言ってよ……! そうしたらもっと早く素直になれたかもしれないのに……」

 六花が叫ぶようにそう言うと、宗吾はキョトンとした顔になり、それから徐々に顔の筋肉がほぐれていくのがわかる。

「素直にって……それってもしかしてーー」
「そうよ、ずっと宗吾が好きだった……。だから好きな人に拒絶されるのが怖くて逃げ出したの!」

 その瞬間宗吾に唇を塞がれる。六花は宗吾の首に腕を回して彼を求めた。お互いに貪り合うようなキスを繰り返しながら、宗吾は六花の体を抱き上げる。六花が宗吾の体に足を巻きつけると、居間に置かれたローソファに傾れ込んだ。

 唇を離すと、二人とも息を切らして互いのことを熱を帯びた瞳で見つめ合う。

「本当にもう……! 不器用にも程があるわよ……! 一体どれだけ時間を無駄にしたと思ってるの⁈」
「うん……本当にごめん」
「二度とこんなことは嫌だから……ちゃんと言葉にしてくれないとわからないんだからね!」

 宗吾は力強く六花を抱きしめる。

「約束する。だから許してほしい。もし出来ることなら、六花とまーちゃんのそばにいたいんだ」

 なんて遠回りなことをしちゃったんだろう……確かに発端は宗吾にあるけど、ややこしくしたのは私自身でもある。彼だけを責めることは出来なかった。
< 106 / 112 >

この作品をシェア

pagetop