絶対に結婚したくない令嬢、辺境のケダモノと呼ばれる将軍閣下の押しかけ妻になる
「カール、今日はいったいどういう用件かな? 父は朝一番で領地に行ってしまったので、僕が代わりに聞くことになるけれど」
「ああ、そうだね。僕も忙しいし、さっそく本題に入ろうか」
カールは紅茶の香りを楽しみながら、眼鏡の奥のまつ毛を伏せ、どこか自慢げに口を開いた。
「これはまだ非公式の話なので他言無用にしてもらいたいんだが。実はロドウィック帝国から、第二皇女を王太子妃として迎えることが決定したんだ」
「「ええっ!?」」
カールの驚きの発言に、ジョエルとフランチェスカの声が見事にハモり、応接室に響き渡った。
ロドウィック帝国は大陸の東に位置し、建国千年を超える、もっとも歴史がある大帝国だ。
豊かな国土と安定した治世のおかげで世界の政治文化の中心であり、アルテリア王国の初代王も出身はロドウィック帝国の皇帝の血を引く縁者、ということになっている。事実かどうかは別にして、帝国の流れをくむということは、ある種の血統の正当性を保証することなのだ。
そしてアルテリアは現在、帝国の同盟国の一翼を担っている。八年前の『シュワッツ砦の戦い』も、帝国の要請を受けて出兵したのだ。
(それにしても、国土が十倍違うのに……)
皇女の持参金は小さな国の国家予算に値するだろうし、彼女が所有する帝国領からの収入も莫大であるはずだ。あくまでも想像ではあるが今後の付き合い方次第では、王太子妃が産んだ子が帝国で地位を得ることになるかもしれない。
そんな由緒正しき帝国の第二皇女を王太子妃に迎えるというのは、王国側からしたら破格の申し出だ。もはや国家事業である。
そんなこともあるのかとフランチェスカが感心していると、
「信じられない話だが、皇女の今は亡き乳母がアルテリア出身だったことで、幼い頃から我が国に親しみの感情を抱いてくださっていたらしいんだ。まったく、その乳母に勲章を送りたいくらいだよ」
カールは冗談めかしつつも満足げに息を吐き、カップをソーサーと一緒にテーブルの上に置いた。
「ああ、そうだね。僕も忙しいし、さっそく本題に入ろうか」
カールは紅茶の香りを楽しみながら、眼鏡の奥のまつ毛を伏せ、どこか自慢げに口を開いた。
「これはまだ非公式の話なので他言無用にしてもらいたいんだが。実はロドウィック帝国から、第二皇女を王太子妃として迎えることが決定したんだ」
「「ええっ!?」」
カールの驚きの発言に、ジョエルとフランチェスカの声が見事にハモり、応接室に響き渡った。
ロドウィック帝国は大陸の東に位置し、建国千年を超える、もっとも歴史がある大帝国だ。
豊かな国土と安定した治世のおかげで世界の政治文化の中心であり、アルテリア王国の初代王も出身はロドウィック帝国の皇帝の血を引く縁者、ということになっている。事実かどうかは別にして、帝国の流れをくむということは、ある種の血統の正当性を保証することなのだ。
そしてアルテリアは現在、帝国の同盟国の一翼を担っている。八年前の『シュワッツ砦の戦い』も、帝国の要請を受けて出兵したのだ。
(それにしても、国土が十倍違うのに……)
皇女の持参金は小さな国の国家予算に値するだろうし、彼女が所有する帝国領からの収入も莫大であるはずだ。あくまでも想像ではあるが今後の付き合い方次第では、王太子妃が産んだ子が帝国で地位を得ることになるかもしれない。
そんな由緒正しき帝国の第二皇女を王太子妃に迎えるというのは、王国側からしたら破格の申し出だ。もはや国家事業である。
そんなこともあるのかとフランチェスカが感心していると、
「信じられない話だが、皇女の今は亡き乳母がアルテリア出身だったことで、幼い頃から我が国に親しみの感情を抱いてくださっていたらしいんだ。まったく、その乳母に勲章を送りたいくらいだよ」
カールは冗談めかしつつも満足げに息を吐き、カップをソーサーと一緒にテーブルの上に置いた。