絶対に結婚したくない令嬢、辺境のケダモノと呼ばれる将軍閣下の押しかけ妻になる
「ふふっ」
フランチェスカの気安い冗談がツボに入ったのか、ダニエルは笑みをこぼし、それから慌てたように表情を引き締める。
「ではフランチェスカ様は、どうしてもあの方と結婚されるおつもりなんですね?」
「ええ」
フランチェスカはにっこりと微笑んだ。
「たとえ旦那様がそれを望んでおられないのがわかっていても?」
「――」
ダニエルは相変わらず穏やかに微笑んでいるが、その瞬間フランチェスカの笑みは凍ってしまった。
さらにダニエルは言葉を続ける。
「旦那様には、今まで数えきれないほどの縁談が舞い込みました。この地を治め人々の暮らしを守り続けてきたのは旦那様です。王都でなんと言われようとも、娘や孫を嫁がせたいという有力者は多くいましたからね」
ダニエルは中指で眼鏡を押し上げると、軽く目を細めた。
「だが結局、旦那様は誰ひとり選ばれなかった。お気を悪くしないでいただきたいのですが、そんな旦那様に、あなたが選ばれると思いますか?」
あなたが『選ぶ』のではない。
選ぶのは我が主君だと、ダニエルははっきりと言い切ったのである。
彼の灰色の瞳は冷静にフランチェスカを品定めしている。
フランチェスカが頭に血をのぼらせ、『無礼』だと叫べば、もう二度と自分の話を聞いてはくれないだろう。
(この人やっぱり……すごいわ)
その瞬間、フランチェスカは心を決めた。
(嘘で誤魔化しても、きっとすぐに見抜かれる。だったら本音を打ち明けるしかない)
フランチェスカはすうっと大きく息を吸って、それから力強くうなずいた。
フランチェスカの気安い冗談がツボに入ったのか、ダニエルは笑みをこぼし、それから慌てたように表情を引き締める。
「ではフランチェスカ様は、どうしてもあの方と結婚されるおつもりなんですね?」
「ええ」
フランチェスカはにっこりと微笑んだ。
「たとえ旦那様がそれを望んでおられないのがわかっていても?」
「――」
ダニエルは相変わらず穏やかに微笑んでいるが、その瞬間フランチェスカの笑みは凍ってしまった。
さらにダニエルは言葉を続ける。
「旦那様には、今まで数えきれないほどの縁談が舞い込みました。この地を治め人々の暮らしを守り続けてきたのは旦那様です。王都でなんと言われようとも、娘や孫を嫁がせたいという有力者は多くいましたからね」
ダニエルは中指で眼鏡を押し上げると、軽く目を細めた。
「だが結局、旦那様は誰ひとり選ばれなかった。お気を悪くしないでいただきたいのですが、そんな旦那様に、あなたが選ばれると思いますか?」
あなたが『選ぶ』のではない。
選ぶのは我が主君だと、ダニエルははっきりと言い切ったのである。
彼の灰色の瞳は冷静にフランチェスカを品定めしている。
フランチェスカが頭に血をのぼらせ、『無礼』だと叫べば、もう二度と自分の話を聞いてはくれないだろう。
(この人やっぱり……すごいわ)
その瞬間、フランチェスカは心を決めた。
(嘘で誤魔化しても、きっとすぐに見抜かれる。だったら本音を打ち明けるしかない)
フランチェスカはすうっと大きく息を吸って、それから力強くうなずいた。