絶対に結婚したくない令嬢、辺境のケダモノと呼ばれる将軍閣下の押しかけ妻になる
「なるほど……。それでお嬢様は相変わらずぴかぴかの生娘、ということなんですね?」
あの後、マティアスは『急ぎの仕事があるから』とさっさと夫婦の寝室を出て行った。
「そういうことなのよ、アンナ……」
フランチェスカは不貞腐れながらうなずく。
どうやら朝食も一緒にとる時間はないらしい。なんとなく取り残された気分でいると、それからしばらくしてソワソワした様子のアンナが部屋に入ってきた。ぬるま湯で顔を洗い身支度を整えた後、朝のお茶を飲みながらフランチェスカはアンナにすべてを打ち明けていた。
「マティアス様、本気で私が帰りたくなった時のために、白い結婚でいようっておっしゃってるみたいなの」
「まさかの展開ですね。あたし、お嬢様の子供のお世話をするのを、すっごく楽しみにしていたとこあるんですけど」
一夜明けて人妻になったフランチェスカから、ウキウキするような話が聞けると思っていたアンナは、拍子抜けしたような顔をしていた。
フランチェスカも確かに落ち込みはしたが、これで終わらせるつもりなどない。
「でも私、王都に帰るつもりはないわよ。実は『白い結婚』でしたってことになったら、結局元の木阿弥じゃない」
「お嬢様は新しい結婚相手を見繕って嫁がないといけないでしょうね」
「そんなの絶対にいやだわ」
フランチェスカははっきりそう口にして、窓の外に目をやる。
「こうなったら、私が『使える女』だってわかってもらうしかないわ!」
「え?」
謎の闘志を燃やし始めるフランチェスカを見て、アンナが眉を顰める。
あの後、マティアスは『急ぎの仕事があるから』とさっさと夫婦の寝室を出て行った。
「そういうことなのよ、アンナ……」
フランチェスカは不貞腐れながらうなずく。
どうやら朝食も一緒にとる時間はないらしい。なんとなく取り残された気分でいると、それからしばらくしてソワソワした様子のアンナが部屋に入ってきた。ぬるま湯で顔を洗い身支度を整えた後、朝のお茶を飲みながらフランチェスカはアンナにすべてを打ち明けていた。
「マティアス様、本気で私が帰りたくなった時のために、白い結婚でいようっておっしゃってるみたいなの」
「まさかの展開ですね。あたし、お嬢様の子供のお世話をするのを、すっごく楽しみにしていたとこあるんですけど」
一夜明けて人妻になったフランチェスカから、ウキウキするような話が聞けると思っていたアンナは、拍子抜けしたような顔をしていた。
フランチェスカも確かに落ち込みはしたが、これで終わらせるつもりなどない。
「でも私、王都に帰るつもりはないわよ。実は『白い結婚』でしたってことになったら、結局元の木阿弥じゃない」
「お嬢様は新しい結婚相手を見繕って嫁がないといけないでしょうね」
「そんなの絶対にいやだわ」
フランチェスカははっきりそう口にして、窓の外に目をやる。
「こうなったら、私が『使える女』だってわかってもらうしかないわ!」
「え?」
謎の闘志を燃やし始めるフランチェスカを見て、アンナが眉を顰める。