初心な人質妻は愛に不器用なおっさん閣下に溺愛される、ときどき娘
だが、それを目の前のミラーンに知られていたとは思ってもいなかった。
「ほら。また、にやけている。ラベンダーのときもそうですよ。結婚してからというもの、閣下はそうやってたまににやけているんです。あぁ、気持ち悪い」
ミラーンは両手で自分の身体を抱きかかえると、ふるっと震えた。
「気持ち悪いとは、失礼なやつだな」
「自覚がないとは恐ろしい。まあ、でもこれで安心ですね。閣下が結婚に気乗りしていないとは聞いておりましたので、心配していたのですよ」
「お前がか?」
「いいえ、陛下がです」
また、あいつか。と、口に出そうになった言葉を呑み込んだ。
「そうか。だったら、円満だから心配するなと陛下に伝えておけ」
「承知しました」
ビシッと背筋を伸ばした格好で深々と頭を下げるミラーンを見て、ため息をつきたくなったが堪えた。
「あ、そうそう。閣下」
ミラーンとの会話はまだ続くようだ。信頼できる部下ではあるが、あの国王の言いなりになっているところが素直すぎて、心配なところでもある。
「誕生パーティーのシフトの件ですが、あのシフトで特に問題ないとのことです。ですが、陛下は――」
とまで彼が口にしたとき、イグナーツは盛大に顔を歪ませた。
「ほら。また、にやけている。ラベンダーのときもそうですよ。結婚してからというもの、閣下はそうやってたまににやけているんです。あぁ、気持ち悪い」
ミラーンは両手で自分の身体を抱きかかえると、ふるっと震えた。
「気持ち悪いとは、失礼なやつだな」
「自覚がないとは恐ろしい。まあ、でもこれで安心ですね。閣下が結婚に気乗りしていないとは聞いておりましたので、心配していたのですよ」
「お前がか?」
「いいえ、陛下がです」
また、あいつか。と、口に出そうになった言葉を呑み込んだ。
「そうか。だったら、円満だから心配するなと陛下に伝えておけ」
「承知しました」
ビシッと背筋を伸ばした格好で深々と頭を下げるミラーンを見て、ため息をつきたくなったが堪えた。
「あ、そうそう。閣下」
ミラーンとの会話はまだ続くようだ。信頼できる部下ではあるが、あの国王の言いなりになっているところが素直すぎて、心配なところでもある。
「誕生パーティーのシフトの件ですが、あのシフトで特に問題ないとのことです。ですが、陛下は――」
とまで彼が口にしたとき、イグナーツは盛大に顔を歪ませた。