初心な人質妻は愛に不器用なおっさん閣下に溺愛される、ときどき娘
「お父さま」
彼女のもう片方の小さな手は、イグナーツがしっかりと握りしめ、会場となる庭園へと足を向けた。
入口にはイグナーツの顔見知りが警備と称して立っていたようで、彼は幾言か言葉を交わしてから、中へと入る。
「うわぁ」
屋敷の庭とは違い、広くて解放感溢れる庭園に、エルシーは思わず声を漏らしていた。その感動は続いていたようで、ぽかんと口は開けっ放しになっている。
「しっ」
イグナーツに指摘され、彼女は慌てたように口を閉じる。
花のアーチによって作られた一本道を進むと、一気に視界が開ける。その先で何かが動いている様子が見えるが、それはすでに会場を訪れている招待客だろう。
「イグナーツ殿」
会場に着いた途端、イグナーツは誰かに声をかけられた。
「貴殿が、このような場にそのような姿で参加するのは初めてではないのか?」
イグナーツは苦笑している。
「相変わらず気の利かない男だな。さっさと俺のことを紹介しろ」
そう口にしている相手は、彼と同じくらいかいささか年上に見えた。
「オネルヴァ。こちら、レジナルド・エルズバーグ将軍だ。西のエルズバーグ領を治めている」
となれば、彼が西の将軍なのだろう。ゼセール王国の四方は、それぞれ将軍が領主として治めていると聞いている。
彼女のもう片方の小さな手は、イグナーツがしっかりと握りしめ、会場となる庭園へと足を向けた。
入口にはイグナーツの顔見知りが警備と称して立っていたようで、彼は幾言か言葉を交わしてから、中へと入る。
「うわぁ」
屋敷の庭とは違い、広くて解放感溢れる庭園に、エルシーは思わず声を漏らしていた。その感動は続いていたようで、ぽかんと口は開けっ放しになっている。
「しっ」
イグナーツに指摘され、彼女は慌てたように口を閉じる。
花のアーチによって作られた一本道を進むと、一気に視界が開ける。その先で何かが動いている様子が見えるが、それはすでに会場を訪れている招待客だろう。
「イグナーツ殿」
会場に着いた途端、イグナーツは誰かに声をかけられた。
「貴殿が、このような場にそのような姿で参加するのは初めてではないのか?」
イグナーツは苦笑している。
「相変わらず気の利かない男だな。さっさと俺のことを紹介しろ」
そう口にしている相手は、彼と同じくらいかいささか年上に見えた。
「オネルヴァ。こちら、レジナルド・エルズバーグ将軍だ。西のエルズバーグ領を治めている」
となれば、彼が西の将軍なのだろう。ゼセール王国の四方は、それぞれ将軍が領主として治めていると聞いている。