初心な人質妻は愛に不器用なおっさん閣下に溺愛される、ときどき娘
「みなさん、新しいお友達を紹介しますわ」
 それぞれ歓談に耽っていた者たちの視線が一斉にこちらに向かった。この場には、女性しかいない。男性がいたとしても男の子と呼べるような、そんな年代の子たちばかりだ。
 リオノーラがその場を指揮って、そこにいた者たちを次々と紹介してくれた。
 他にも東と南の国境を守っている将軍の奥方たちである。そんななか、東の将軍夫人のシャーロットはオネルヴァよりも四つ年上で、子どもも男児でありながら七歳であった。
「おい」
 シャーロットの息子ジョザイアがエルシーに声をかける。
 オネルヴァはそれをハラハラとしながら見守っていた。するっとエルシーの手が解け、ジョザイアの側へと向かう。ジョザイアは満足そうに笑うと、エルシーの手を取って「こっちに面白いのがあるんだ」と、大人の輪から離れていく。
「大丈夫よ。ジョザイアはこの庭園も詳しいから。それにほら」
 シャーロットの言葉で周囲を見回すと、軍服を着ている者たちがちらほらと視界に入る。やはり、一国の王女の誕生パーティーというだけあって、警備に抜かりはないようだ。
 美味しいお茶とお菓子、それから些細な会話で時間をやり過ごす。
 何を言われるのかと身構えていたところではあったが、本当に他愛もないような内容が多かった。
 例えば、今飲んでいる茶葉について、そういったところから会話が広がっていく。あとは身に着けているドレスや装飾類など。
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