初心な人質妻は愛に不器用なおっさん閣下に溺愛される、ときどき娘
「あの……旦那様は『幸せ』ですか?」
彼女が唐突にそのような質問をする意図がわからなかった。もしかしたら、この結婚によって『不幸』になったとでも、言いたいのだろうか。
だが、それには心当たりはある。
彼女にとってのイグナーツの第一印象は最悪だろう。自身の戒めのために口にした言葉であるが、あれがどれだけ彼女にとってひどい言葉であるかの自覚はあった。それに、彼女の意思も確認しないまま『エルシーの母親役』を与えてしまった。
どこかで謝罪しなければならないと思いつつ、彼女の優しさに甘えてしまったのも事実。
「アルヴィドお兄様から聞かれたのです。幸せか、と。それに答えることができませんでした」
彼女の言葉で喉を上下させた。
「君は今、幸せではないのか?」
気がついたらそう尋ねていた。彼女の膝の上で握りしめられている手を、そっと右手で握りしめる。答えを聞くのが少しだけ怖い。
「わたくしには、よくわからないのです。その『幸せ』というものが……」
彼女がキシュアス王国でどのような仕打ちを受けていたか。オネルヴァ自身の口から聞いたことはない。イグナーツも彼女から聞きたいとも思わなかった。
嫌な思い出であるならば、わざわざそれを掘り起こす必要もないだろう。だが、この結婚を打診されたときに、国王からたっぷりと情報はもらっていた。
彼女が唐突にそのような質問をする意図がわからなかった。もしかしたら、この結婚によって『不幸』になったとでも、言いたいのだろうか。
だが、それには心当たりはある。
彼女にとってのイグナーツの第一印象は最悪だろう。自身の戒めのために口にした言葉であるが、あれがどれだけ彼女にとってひどい言葉であるかの自覚はあった。それに、彼女の意思も確認しないまま『エルシーの母親役』を与えてしまった。
どこかで謝罪しなければならないと思いつつ、彼女の優しさに甘えてしまったのも事実。
「アルヴィドお兄様から聞かれたのです。幸せか、と。それに答えることができませんでした」
彼女の言葉で喉を上下させた。
「君は今、幸せではないのか?」
気がついたらそう尋ねていた。彼女の膝の上で握りしめられている手を、そっと右手で握りしめる。答えを聞くのが少しだけ怖い。
「わたくしには、よくわからないのです。その『幸せ』というものが……」
彼女がキシュアス王国でどのような仕打ちを受けていたか。オネルヴァ自身の口から聞いたことはない。イグナーツも彼女から聞きたいとも思わなかった。
嫌な思い出であるならば、わざわざそれを掘り起こす必要もないだろう。だが、この結婚を打診されたときに、国王からたっぷりと情報はもらっていた。