初心な人質妻は愛に不器用なおっさん閣下に溺愛される、ときどき娘
「早いほうがよいかと思います。まして、約束事ですから」
オネルヴァが声をかけると、イグナーツが手紙から顔をあげた。
「そうか。そうだな。今夜……か……」
ぽろっと彼がこぼした言葉を、オネルヴァは拾い取った。
「そのようにエルシーにお伝えしてもよろしいですか?」
「いや、あ。そうだな。だが、どこで寝る? 三人でとなれば、それなりに広い寝台が必要だろう?」
だが一人は子どもだ。大人二人眠れる場所であれば、充分でもある。
「でしたら、あの寝室ですか?」
オネルヴァが小首を傾げて尋ねると、イグナーツは首を横に振る。
「駄目だ。あの部屋は、まだ使っていない。使っていないのをエルシーに知られたら、俺たちが不仲であると不安になるだろう」
「でしたら、エルシーのお部屋がいいですね。エルシーの寝台でも、充分に広いですから」
オネルヴァが言った通り、エルシーが使っている寝台も大人二人が眠れるような広さの寝台である。そこにエルシーが一人で眠っているのだから、寂しくも感じるのだろう。
「そうだな。そうするか……」
渋々と口にしたような彼であるが、その口元は盛大ににやけていた。
オネルヴァが声をかけると、イグナーツが手紙から顔をあげた。
「そうか。そうだな。今夜……か……」
ぽろっと彼がこぼした言葉を、オネルヴァは拾い取った。
「そのようにエルシーにお伝えしてもよろしいですか?」
「いや、あ。そうだな。だが、どこで寝る? 三人でとなれば、それなりに広い寝台が必要だろう?」
だが一人は子どもだ。大人二人眠れる場所であれば、充分でもある。
「でしたら、あの寝室ですか?」
オネルヴァが小首を傾げて尋ねると、イグナーツは首を横に振る。
「駄目だ。あの部屋は、まだ使っていない。使っていないのをエルシーに知られたら、俺たちが不仲であると不安になるだろう」
「でしたら、エルシーのお部屋がいいですね。エルシーの寝台でも、充分に広いですから」
オネルヴァが言った通り、エルシーが使っている寝台も大人二人が眠れるような広さの寝台である。そこにエルシーが一人で眠っているのだから、寂しくも感じるのだろう。
「そうだな。そうするか……」
渋々と口にしたような彼であるが、その口元は盛大ににやけていた。