幼なじみ、じゃない。
「っ、」
瞳に分厚い膜が張られて、今にも溢れてしまいそう。
ーーやっぱり私は、ただの幼なじみとしてしか見られていなかった?
ああ、こんな急に、こんな風には気づきたくなかったのに。
違う、気づかないようにしていただけ。
今までずっと、“幼なじみ”としてやり過ごしてきた。そう思われるように、幼なじみとして隣にいられるように努力してきた。
涼に好きな人がいると知ってから、ちゃんと幼なじみとしての距離を保ってきた。…のに、
ーーあの時の決意が、いとも簡単に崩れてしまう。
気持ちが風船みたいにどんどん膨らんで、今にも割れてしまいそうなの。
息を止めることができない、吹き込むことしか、もうできない。