初めての恋はあなたとしたい
帰る高速で拓巳くんは驚くことを口にした。
お兄ちゃんに拓巳くんと付き合い始めたって伝えたと聞いたのだ。出かけるのも前日に伝えたという。だから昨日の朝はいつもより朝早く起きてきたんだ。
お兄ちゃんの友達でもある拓巳くんと付き合うなんて恥ずかしい。もちろん彼のことは好きだったけど、それと家族に知られるのは別問題。
うわぁ、と頭を抱えると横から手が伸びてきた。
ポンポンと頭を撫でられる。

「後悔してるのか?」

「ううん。でも何だかお兄ちゃんに知られるって恥ずかしくない?」

「俺はずっと祐樹にこの気持ちを知られていたぞ? 言わないだけで俺が美花を好きだったと気が付いていたって言われた」

そうなの?

「絶対に傷つけるな、とキツく言われた。守れないなら付き合うな。その時には自分との関係も終わりだし、仕事も辞めるって言ってた」

お兄ちゃん今の仕事やりがいがあるって言ってたのに辞める話までしたの? 
昔から歳の離れた私を可愛がるお兄ちゃんはつっけんどんで分かりにくいところもあるけど、どちらかというとシスコンだと思う。

「ありえないって言ったよ。昔から俺が美花を特別に思っているのに気がついていたならそんなことないってわかるだろ? って言ったらボコっと殴られたよ」

「え? 大丈夫なの?」

運転している彼の顔を見ると笑っていた。

「俺の身体を見ただろ? 大丈夫だっただろ?」

もー、イジワル!
私が何も言えなくなるってわかってて意地悪なんだから。

「祐樹は認めてくれたんだと思うよ」

私も頷いた。
昔から過保護だけど、お兄ちゃんにとって拓巳くんは特別な存在。その拓巳くんと付き合うのなら安心したのもあるだろう。

家に送り届けてくれると、玄関でお兄ちゃんが待っていた。
何を言われるのかとビクビクしていると、お兄ちゃんは拓巳くんに寄るように言った。拓巳くんもそのつもりだったのかうちのパーキングに車を停めた。
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