二次元に妻を奪われたくないスパダリ夫は、壮大すぎる溺愛計画を実行する
「はっ、はい!」

 香澄は泣いていたことがバレないように急いで手で目元を拭った。
 けれど、拓人にはすぐにバレてしまったのか、部屋に入ってきてすぐ拓人は

「はいこれ」

 と、拓人の部屋にある可愛らしい小物入れか鼻セ○ブを取り出して香澄に渡した。
 思う存分鼻水を拭き取れる拓人の優しさに、香澄は余計涙が溢れた。

「ほらほら、もう泣かない泣かない」

 拓人は、香澄を自分の胸に抱き寄せて、よしよしした。
 香澄は慣れない胸板に、少しだけ自分の体が強張るのがわかったが、今は誰でもいいからよっかかりたい気分だった。

「どうしたの」
「す、すみません……こんなはずじゃなかったのに……」
「おーよしよし。大丈夫よ、私は、ちゃんとここにいるからね」

 拓人の優しい声に、香澄はまた涙がボロボロで始めた。

「ほら、何が不安なの、言ってみなさい」
「…………でも…………」
「私、あなたの上司、仕事、ほしくな」
「実は」
「そこは早いわね、相変わらず」

 そんなこんなで、香澄はついさっきまでぐるぐる悩んでたことを伝えた。

「なるほどね……それは辛かったわね」

 拓人に自分の辛さを肯定してもらえた、香澄は少し安心した。
 でも、その次の拓人の言葉には「どうしてそうなるの?」としか思えなかった。

「じゃあ、奴でストレス発散しましょうか」
「奴?」
「歩く公が……じゃなかった、そこの赤ちゃんの生物学上は父親が痛ぶられてるところを見るのよ」
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